ジャンケンをしよう。
急に何を言い出すんだ、この人は。Re:valeの千は手をグーにして「ほら、早く」と私と相方の百を急かしてきた。
「ほら、
も」
「え、何で私まで……」
「いいじゃんいいじゃん♪
も入んないとつまんないよ。じゃあ、行くよ? じゃんけーん……」
ぽん。私はパーを出した。
三分の一の確率だ。適当に出せばいい。どうせただの気まぐれで言ったジャンケンなんだから。何も起こるわけがないーーはず、だった。
「フフッ……僕とモモはチョキだね?
の負け」
「何してもらうかなんて、もう考えちゃってるんだよね〜〜」
何だよ、お前らグルか。さては、何を出すかなんてこっそりと決めていやがったな、この卑怯者。私はそう叫ぼうとしたんだ。でも、千よりも身軽で筋肉質な百がそれを許さない。
「ひゃっ!? も、百! 降ろしなさいよ!!」
「ユキ、あっちの部屋でいいよね?」
「そのつもりだよ」
「ちょっと、二人で勝手に話を進めないで……っん、んんっ!?」
ひょいっと百にお姫様抱っこされたかと思えば、今度は千に唇を押し当てられる。黙ってろ。彼の無言の圧力だ。
しかも、千、私にキスをする前に液体を含んでいたようで、私は謎の液体を体に入れてしまった。若干火照ってきた体、彼らの声に反応してうずくあの部分。もしや、と思い睨んでみれば二人はクスリと笑う。
「手に入ったら、使うべき相手は
しかいないよ」
「オレ達、
しか愛せないから。
しか興味がないんだ」
「同じ人を好きになったら、こうするしかないよね?」
「オレ達二人で
を愛せばいいよね?」
「え、あ……あ、千? 百? 私……ーー」
景色がぼんやりとしていく。まぶたが重たくて、酷い眠気に襲われる。私はここで意識を手放した。二人の「ごめんね」が微かに聞こえた気がした。
目が覚めれば、そこは知らない部屋だった。ただ一つ言えるのは、私の衣服は着替えさせられていてーー簡単に言えばスケスケのエロエロなランジェリーになっていた。首や手、足にはじゃらじゃらと長い鎖が巻かれている。その鎖の先はいかにも重たそうな鉄球に辿り着いた。ヒヤリと汗が流れる。
「あ、
、起きた?」
「体はどうだい……って僕達が聞くのもおかしいけど」
それもそうだね、ユキ。ケラケラ笑う百は何だかいつもの百じゃない感じがして、ちょっと怖い。千は至ってフツーな感じだけど、口角はさっきから上がってばかりだ。二人ともいったいどうしちゃったの? 弱々しい声になりつつも私は彼らに投げかけた。けれども、そんな私の悲痛な問いにはもろともせず、百は私の首に付けられた鎖をぐいっと引っ張る。
「あぅ……っ、ん!」
「
ちゃーん、覚えてるよね? アレを飲まされたことに……」
ツゥゥ、と私の体のラインを厭らしくなぞる百。急激にヒクヒクと反応する下半身。百の止まらないその動きに耐えられず、私は声を漏らしてしまう。
「や、やぁっ、だ、だめっ……!」
「うん、すっかり効いてるみたいだね。モモ」
「頃合いだね、ユキ」
「な、何する、の……んぅっ?!」
先にベルトを外した千が、私の口に無理矢理自身のをねじ込む。喉の奥の方までやって来ていて、むせ返りそう。気持ち悪いーー。涙目になりながらも次にやって来るのは快感で。気持ち悪さなんてすぐに吹き飛んだ。
それを見計らって百は私を四つん這いにさせ、着けていないのも同然のショーツを横にずらした。ぷすり、と私のあそこに百の指が出たり入ったりを繰り返す。何度も、何度も。
「
、その効き目があるうちにシようよ」
「んはぁ、ッ、あっ、やぁっ……っ!」
ねっとりとしたソレが出ているのを感じながらも、私は次々とやって来る快感に身を委ねることしか出来ない。何で二人がこんなことをしてるのかなんて、もうどうだっていいーー。
「効き目が無くなってしまったら、綺麗サッパリ忘れちゃうからさ……」
「んっ! あっ、んっッ! やぁ……ん、んァッ! 百ぉ……千、千斗ぉ……アッ、アァァアッ!!」
ーー百と千とは高校時代からの仲だった。と言っても、千斗はクラスでいつも浮いた感じだったからそんなに話したことはなかった。急に仲良くなったのは、千斗が私をどういった理由でかは知らないけどライブに誘ったことだった(当時はまだ百はRe:valeのファンでステージには上がってはいなかったけど)。千の歌声に惹かれた私はなかなかの勢いで「素敵だったよ折笠くん!」と終わった直後に伝えれば、「また誘うよ」と話してくれた。
しばらくはこんな感じだったが、ある日、事件が起こりーー……今のRe:valeの形になった。その時だ。私が彼らの生活面でのマネージャーとなったのは。ヤツレていく千斗を放っては置けなかったのだ。
百瀬くんは本当にいい子だった。何かと千斗のサポートをするし、とにかく一生懸命だった。
そんな二人に、私の心は揺れ動いていた。歌声に惹かれた千斗を好きになり、また、頑張り屋さんな百瀬くんも好きになっていた。
二人を好きになったらいけないのに……。
***
じゃんけんをしよう。
「えー? どうして急に?」
ユキが突拍子もなくじゃんけんをしようと言い出した。特に不審がることなく
は可愛く反論する。
「今昼ご飯作ってるんだけど! 焼きそば!」
「もう出来上がるでしょ? 盛り付けは後でいいからこっちに来なよ」
「そそ! ってか、オレ達が
んとこに行けばいいんじゃん?」
「それも、そうね」
ソファに座っていたユキは腰を上げてオレと合流する。アイコンタクトを取ればコクリ、と彼は頷いた。今日でもう、両手じゃ足りないくらいの回数をやることになる。
ごめんね、
。
オレも、そしてユキも。
が好きなんだ。大好きなんだ。オレも譲ることが出来ないし、ユキも譲れないって言ってた。だったらどうするか、だなんて……お互いに納得のいく答えなんてあるわけがない。二人で一人を愛するだなんて、認められないでしょう? それでもーー。
この欲は抑えられそうにない。
《続》