06:00 AM


(血の繋がっていないもう一人の姉さん。しかも、キョーダイじゃなくてただの居候。家で一番に早く起きて、遅く寝るって聞いた。いつだったか気まぐれで「アンタ、大丈夫なわけ?」って聞いたことがあったっけ。そしたら、身分をわきまえてるつもりだからとか。悪くないけどさ、別に。ただ、周りが気づいてるか分かんないけど、時々、睡眠不足と疲れで意識吹っ飛ばしてんだよね。どーでもいいけど。そう思いつつもどこか引っ掛かる僕は、なるべく家に帰るようにしていた――)



 早朝5時38分。
 まだ日がのぼっていなくて真っ暗の中、僕は重たい足を引きずって、ようやっとエントランスホールにたどり着いた。
 ダイニングテーブルに突っ伏したまま寝てたのを見て以降、「これからは僕のベッドで寝る事。いい? って、これ命令だから拒否権ないけど」って少しだけ脅して、合鍵を押し付けた。いつだったか、ひっそりと覗きに行ったらちゃんと寝ててよかったけど。

 よかった……?

 僕、何で安堵してるんだろう。
 エレベーターに乗り込んで、3階のボタンを押す。
 他のキョーダイに取られるから? そこにいて安心してるから? 意味わかんない。
 あー、僕の口から「取られる」ってのが出るとはね。もう、この時点で「好き」って言ってるようなもんじゃん。この僕が、こんなフツーな女を気にかけるなんて。
 ――そうだった。仕事で家にいないことが多いから、連絡僕からしてるじゃん。部屋散らかすな、あさるな、ちゃんとベッドで寝てるわけ? って。
 昨日の晩も電話したら、ふーくんのベッドで寝てるから安心していいよって。

 調子狂うなあ、もう。

 鍵穴にいれて回せば、聞こえてこないはずの音が微かにあった。なら、この時間帯ならちょうど洗濯物干してるかなって思ったんだけど。変だね。他のヤツがいるわけないし。じゃあ、やっぱり姉さん……?

 帰った早々に会えるだなんて。高鳴るのを感じながらもドアを開けば、ベッドに膨らみがあるのが目に入った。珍しいね、姉さんが誰かに寝てる姿見せるだなんて。僕はそばでしゃがむ。

「姉さん。姉さん、起きてる?」

 無反応だった。ぴくりともしない。
 僕が戻って来たっていうのにさ。起きてくれたっていいのに。姉さんの声、電話からじゃなくて直接感じたかったんだけど。まあ、いつもよりも幼い表情の姉さんを眺める方が貴重で面白いから起こしてあげないけど。 
 しかも、この人、僕のお気に入りの星柄パーカー持って寝てるし。正確には、半分顔にかけて抱き着いてる。ふぅん? 寂しかったってこと? 自分の方が年上だからって甘えてくることしないけど、可愛いところあるじゃん。面と向かって言わないけど。

 チャラ声優はどストレートで表現するし、地味声優はナチュラルにでも伝えるし。引け目を感じなくもない。情けないよね、僕。ただ、姉さんがこうやって来てる以上、渡すつもりはないけどね。

「好きだよ、。大好き……」

 もう少し、せめて姉さんが起きるまではこうさせて。
 僕は右半分の空いたベッドスペースへ跨いで横になる。毛布を掛け直し、のシャンプーの匂いにいとも簡単にやられてそっと引き寄せて抱きしめる。
 ねぇ、僕だけのものになってよ。僕を選びなよ。最高の幸せをプレゼントするからさ。目が覚めたら言ってあげる。もう、素っ気なくしない。冷たくもしないよ。だから――。

>>2014/12/20
素直に思ったことをそのまま伝えられたらなと思ってたり……。拙宅のいつものふーくんですね(笑)。
6時には洗濯機を回している設定ですが、公式では皆何時に起きるんでしょう。昴はもっと早かったりorz

【補足】テーマは、彼女の前だと素直になれない風斗×のほほん夢主。